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2025.12.18
変動金利で「返済額が変わらない」は落とし穴? 金利上昇時の「見えないリスク」を徹底解説
はじめに:ニュースで見る「金利上昇」は他人事ではありません
「住宅ローンは変動金利で借りた方が安いよね?」 「固定ではなく変動金利で借りるのが普通じゃないの?」そう考えている方は多いと思います。実際にこれまでは「変動金利がお得」でした。しかし、最近のニュースで気になる数字が出ています。
日本の長期金利(10年国債利回り)が一時「1.958%」まで急上昇しました。この数字は、2022年1月の利回り(0.174%)と比較すると、約4年弱(3年11ヶ月)の間に1.78ポイントも上昇したことになります。単純計算で1年あたり0.45%くらいのペースで急上昇しているのです。
「国債?投資なんかしてないし自分には関係ないかな」と思われるかもしれませんが、これは住宅ローンの固定金利や、巡り巡って変動金利にも影響を与える重要な指標です。現在は日本銀行(日銀)が利上げの段階にあるため、この金利上昇に歯止めがかかり、下落するめどは見えない状況です。
これだけ金利が動き始めている今、「今後10年でさらに金利が1%、2%増えるというのは非現実的な話ではない」「むしろ備えて当然のリスク」という状況になっています。
今回は、変動金利(元利均等返済)を検討している方が絶対に知っておくべき、「毎月の支払額が変わらないからこそ怖い、隠れたリスク」について、分かりやすく解説します。
1. 変動金利の「5年ルール」と「125%ルール」の正体
多くの銀行の変動金利には、急激な金利上昇から家計を守るための2つの一般的なルールがあります。
5年ルール: 金利が上がっても、5年間は毎月の返済額を変えない。
125%ルール: 6年目に返済額を見直す際も、前回の1.25倍までしか上げない。
※多くの金融機関(都市銀行、地方銀行など)の元利均等返済で採用されていますが、全金融機関のルールではありません
これだけ聞くと、「なんだ、金利が上がっても支払いは急に増えないんだ!安心!」と思いますよね。 実は、これが最大の落とし穴です。
2. 支払い額は同じでも、中身(内訳)が激変している!
毎月の住宅ローン返済額(例えば10万円)は、以下の2つで構成されています。
利息: 銀行への手数料
元金: 借金の返済分
「返済額が変わらない」=「負担が変わらない」ではありません。 金利が上がると、この内訳が勝手に変わってしまうのです。
📉 金利が上がった時のシミュレーション
例えば、毎月10万円を返済しているとします。
【通常時】
利息:2万円
元金:8万円(借金が8万円減る!)
合計:10万円
ここで、金利が上昇したとします。しかし「5年ルール」で毎月の引き落としは10万円のままです。すると何が起きるでしょうか?
【金利上昇時】
利息:6万円(金利が上がり、利息等の支払いが増える)
元金:4万円(借金が4万円しか減らない…!)
合計:10万円(見た目は同じ)
これが「見えないリスク」です。 毎月通帳から引かれる額は同じなので、「借金が全然減っていないこと」に気づかないのです。
3. 最終的に「総支払額」はいくら増える?
元金が減らない状態が続くとどうなるか? 当然、ローン期間が終わっても借金が残り、最後に一括で払うか、期間を延長して払い続けることになります。つまり、トータルの支払額が激増します。
では、具体的にどれくらい増えるのか? 4,000万円を35年ローン(元利均等)で借りた場合でシミュレーションしてみましょう。
💰 金利が1%、2%上がったら?
(※当初金利0.6%でスタートし、5年後に金利が上昇して、そのまま続いた場合の概算シミュレーション)
パターンA:金利0.6%のまま完済
総支払額:約 4,435万円
(利息負担:約435万円)
パターンB:5年後に金利が「+1%」上昇(1.6%)
総支払額:約 5,110万円
差額:+約 675万円 アップ! 😱
パターンC:5年後に金利が「+2%」上昇(2.6%)
総支払額:約 5,850万円
差額:+約 1,415万円 アップ!! 😱😱
いかがでしょうか。 毎月の支払いが急に増えなくても、最終的には高級車が1台、2台買えるほどの金額を多く支払うことになる可能性があるのです。
4. 最悪のケース「未払利息」とは?
さらに金利が急騰した場合、「利息の額」が「毎月の返済額」を超えてしまうことがあります。
毎月の返済額:10万円
計算上の利息:11万円
元金返済:マイナス1万円
こうなると、「10万円払っているのに、利息さえ払いきれず、足りない1万円が借金に上乗せされる(借金が増えていく)」という恐ろしい状態になります。これを「未払利息」と呼びます。リボ払いの問題である「決められた額を返済しているのに元本が減らず、雪だるま式に増えていく借金」と似ていますね。
まとめ:リスクを知った上で選ぶことが大切
脅かすような内容になってしまいましたが、変動金利が悪者というわけではありません。現在も変動金利は非常に低い水準にあり、うまく活用すれば支払額を抑えられるメリットがあります。
大切なのは、以下の3点を忘れないことです。
・「返済額が変わらない」ことに安心せず、金利の動きを見る
・金利が上がったら、繰り上げ返済などで元金を減らす準備をしておく
・「今のギリギリの予算」で変動金利を選ばない
「日本国債利回り 1.958%」という数字は、これからの金利上昇時代の到来を告げています。



