ニュース / ブログ

2025.09.17

政治と住宅ローン金利

「首相は誰でも同じ」はもう古い?

長いデフレと超低金利の時代には「政治が変わっても金利は動かない」と感じられる時期がありました。
しかし2024年に日銀がマイナス金利を解除し、現在は利上げ局面の入り口にいます。こうした環境では、政権の経済政策が市場心理や金利見通しに影響する可能性があります。

今回は、2025年9月に行われる自民党総裁選(=事実上の首相選び)と、住宅ローン金利の関係について整理してみます。


まずは基本から|住宅ローン金利は何に連動する?

住宅ローンの金利は大きく「変動」と「固定」に分けられ、それぞれの基準が異なります。

変動金利型
短期金利(政策金利や短期プライムレート)が基準。
日銀が政策金利を上げると、数年以内に変動金利も上がる傾向があります。

固定金利型(フラット35など)
長期金利(10年国債利回りなど)が基準。
政府の財政政策や日銀の国債買い入れ方針が影響します。

つまり、政権の政策スタンス → 日銀や市場の反応 → 金利に波及という仕組みです。


 2025年9月総裁選の情勢

今回の総裁選には、次の5名が立候補の意向を示しています(報道より)。

小泉進次郎 農林水産相(44)

高市早苗 前経済安保相(64)

林芳正 官房長官(64)

小林鷹之 元経済安保相(50)

茂木敏充 前幹事長(69)

有力候補とされるのは小泉氏と高市氏で、どちらが新総裁に選ばれるかが注目されています。


 高市氏なら「利上げはより慎重に」?

高市氏はアベノミクスの継承を掲げており、金融緩和寄りの政策スタンスを示してきました。
そのため一部の専門家は、もし高市氏が首相になれば利上げペースはより慎重になる可能性がある、と指摘しています。

ただし、日銀は物価や賃金などのデータをもとに独立して判断します。政治の影響は間接的であり、「利上げが確実に遅れる」と断定できるわけではありません。

小泉氏なら「利上げリスクが高まる」?

小泉氏は2024年時点では労働市場改革、特に「解雇規制の見直し」に前向きと報じられています。
こうした政策が進めば、企業は人材流動性を高めやすくなり、賃上げが進みやすいとの見方があります。

賃金上昇は物価上昇(インフレ)の要因に

・インフレが強まれば、日銀が追加利上げを検討する可能性

・景気後退局面では失業率が上がりやすく、銀行は貸倒リスクに備えて金利を高めに設定する余地がある

このような見方から、「小泉政権下では金利上昇リスクが相対的に高い」との声も出ています。

ただしこちらも「必ず金利が上がる」とは言えず、世界経済や日銀の独立した判断が前提となります。


 住宅ローンを考える上でのポイント

変動金利は影響を受けやすい
→ 政策金利の変動が比較的早く反映されるため、政権や日銀のスタンスに左右されやすい。

固定金利は「安心を買う」選択
→ 長期金利の動向に影響されるが、契約時点で返済額が確定するため、上昇局面では安心感がある。

政治ニュースは家計ニュース
→ 金利は「遠い世界の話」ではなく、毎月の返済額に直結する身近なテーマ。


まとめ|「首相は誰でも同じ」はもう古い

・インフレと利上げの時代、政権の政策は市場や金利に影響を与えやすい

・高市氏なら「利上げはより慎重」、小泉氏なら「利上げリスクが高まる」との見方がある

・ただし日銀は独立機関であり、最終的には物価や賃金のデータに基づいて判断される

住宅ローンを考えるときは、ニュースを鵜呑みにせず「固定か変動か、家計に合うのはどちらか」をシミュレーションしておくことが大切です。

※ 本記事の金利数値・見通しは 2025年9月時点の報道に基づいています。金利は市場や金融機関の条件により変動しますので、最新の情報は金融機関や公的機関の発表をご確認ください。

一覧に戻る

PAGE TOP